英語原文からの翻訳です。訂正歓迎します。
暖簾を読む――店先の布が、入る前に語ること
昼どき少し前に日本の商店街を歩くと、同じささやかな所作を何度も目にするはずだ。竿に通した染め布を手に誰かが店から出てきて、戸口の上に掛ける。その布が暖簾(のれん)だ。多くの飲食店や銭湯、甘味処では、どんな看板よりも多くのことを伝えている。
外にあれば営業中、内にあれば店じまい
このルールは一日あれば覚えられる。暖簾が外に掛かっていれば、店は営業している。下ろされて入口の内側に立てかけられていれば、その日はもう終わり。明かりがついていて、誰かがまだカウンターを拭いていても、だ。営業時間の掲示がない小さなおでん屋や蕎麦屋のカウンターでは、この布こそが時刻表になる。
暖簾のくぐり方
常連客は、布と布のあいだの切れ目に片手を差し入れて暖簾を分け、軽く頭を下げながら入っていく。この動作を表す言葉が「くぐる」、つまり下を通り抜けることだ。そして「暖簾をくぐる」は、いつしか単に店に入ることを意味するようになった。
暖簾をくぐると、店の空気が少しだけ変わる。
銭湯では、暖簾が行き先も教えてくれる。「男」と「女」と染め抜かれた布の先は、それぞれ別の脱衣所。藍と赤で色分けされていることも多い。ただし、色ではなく文字で見分けること。日によって男湯と女湯を入れ替える銭湯もあるからだ。
名を背負う布
布には店の名や紋が染め抜かれている。長年の日差しで色褪せた暖簾は、どんな品書きにも語れないことを物語る。この言葉はやがて、店の信用そのものを指すまでに意味を広げた。「暖簾分け」とは、長く勤め上げた弟子に、師匠の屋号を名乗って店を構えることを許す慣わしのこと。同じ文字の暖簾が、別々の町の二つの戸口に掛かっているのはそのためだ。
営業を終え、暖簾が仕舞われる瞬間に気づいてほしい。それはどこよりも正直な閉店時刻だ。礼にかなった応え方は、お茶を飲み干して席を立つことである。
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